ツンの恩返しに、僕は108本のバラを贈るよ
「何かの間違いだろう。僕はこの子と結婚すると言ってある」
そう言って副社長が私の髪を優しく撫でる。
「僕はこの子以外と結婚する気などない」
ここにきて初めて茉莉乃さんが悔しそうに唇を噛み締めた。
「拓也さんが何を言っても蘭子さんの命令は絶対なんでしょう? 私、知ってるのよ!」
メッキが剥がれたように動揺し出す茉莉乃さんを見ながら、あんなふうに言っていたが、もしかしたら、本当は副社長のことが好きなのではないだろうかと思う。
「僕は誰の命令にも従わない。自分が思った道を行く。だから――」
冷たい眼が茉莉乃さんを睨み付ける。
「帰れ! アポイントも取らずやって来た奴とこれ以上話す義務はない」
背筋も凍るような怖い声に、茉莉乃さんも流石に居たたまれなくなったようだ。
「分かりました。今日のところは帰ります。でも、蘭子さんの言葉は絶対だわ。私は拓也さんと結婚する!」
そう言って踵を返すと、茉莉乃さんはプリプリしながら部屋を出て行った。
――副社長を相手に啖呵を切るとは……世の中には凄い人もいるもんだ。
「お前、何を感心してるんだ? 仮にもお前にとってあいつはライバルだぞ」
「いやいや、足元にも及びません」と全面的に敗北宣言をすると、副社長が呆れたような笑みを零す。
そう言って副社長が私の髪を優しく撫でる。
「僕はこの子以外と結婚する気などない」
ここにきて初めて茉莉乃さんが悔しそうに唇を噛み締めた。
「拓也さんが何を言っても蘭子さんの命令は絶対なんでしょう? 私、知ってるのよ!」
メッキが剥がれたように動揺し出す茉莉乃さんを見ながら、あんなふうに言っていたが、もしかしたら、本当は副社長のことが好きなのではないだろうかと思う。
「僕は誰の命令にも従わない。自分が思った道を行く。だから――」
冷たい眼が茉莉乃さんを睨み付ける。
「帰れ! アポイントも取らずやって来た奴とこれ以上話す義務はない」
背筋も凍るような怖い声に、茉莉乃さんも流石に居たたまれなくなったようだ。
「分かりました。今日のところは帰ります。でも、蘭子さんの言葉は絶対だわ。私は拓也さんと結婚する!」
そう言って踵を返すと、茉莉乃さんはプリプリしながら部屋を出て行った。
――副社長を相手に啖呵を切るとは……世の中には凄い人もいるもんだ。
「お前、何を感心してるんだ? 仮にもお前にとってあいつはライバルだぞ」
「いやいや、足元にも及びません」と全面的に敗北宣言をすると、副社長が呆れたような笑みを零す。