ツンの恩返しに、僕は108本のバラを贈るよ
108本のバラ
「いーやぁぁぁ!」
瑞樹の絶叫に私は耳を塞ぐ。いくら可愛い瑞樹だと言っても、このいやいや攻撃だけは勘弁してと涙目になる。
これが始まったのは副社長のマンションを出た次の日からだ。
副社長が出張先から戻ったのは出張三日目の午後だった。
その連絡を受けた私は休みにもかかわらず副社長室に赴き、『マンションを出ることにしました』と言ったのだが……案の定、副社長は烈火の如く怒った。
『なぜだ』と問う副社長に、私はとうとう告白した。自分が本当は何者かを。
流石の副社長もその告白にはグーの音も出なかった。
それはそうだろう。
業界内で一番のライバル会社、新堂コンツェルンの娘だったのだから。
立つ鳥跡を濁さず。荷物運びは完璧に終わらせていた。だから、その場で今までの礼を述べて副社長室を後にした。そして、完全にマンションを出た。
「瑞樹の好きなカレーだよ。何が嫌なの?」
「いーやぁぁぁ!」
瑞樹はただただ泣き叫ぶばかりだ。
こんな感じでもう三日も過ごしている。
壁の薄い狭いアパートなので、虐待とか疑われたら、なんてことが頭に過ぎるほど瑞樹のいやいやはエスカレートしていた。
『もう、私の方が泣きたくなっちゃいました』
昨日は桜子さんと同じ時間のお迎えになり、ついつい愚痴を言ったら、『分かるわ』と大きく頷いてくれたので少しだけ気分が持ち直した。
瑞樹の絶叫に私は耳を塞ぐ。いくら可愛い瑞樹だと言っても、このいやいや攻撃だけは勘弁してと涙目になる。
これが始まったのは副社長のマンションを出た次の日からだ。
副社長が出張先から戻ったのは出張三日目の午後だった。
その連絡を受けた私は休みにもかかわらず副社長室に赴き、『マンションを出ることにしました』と言ったのだが……案の定、副社長は烈火の如く怒った。
『なぜだ』と問う副社長に、私はとうとう告白した。自分が本当は何者かを。
流石の副社長もその告白にはグーの音も出なかった。
それはそうだろう。
業界内で一番のライバル会社、新堂コンツェルンの娘だったのだから。
立つ鳥跡を濁さず。荷物運びは完璧に終わらせていた。だから、その場で今までの礼を述べて副社長室を後にした。そして、完全にマンションを出た。
「瑞樹の好きなカレーだよ。何が嫌なの?」
「いーやぁぁぁ!」
瑞樹はただただ泣き叫ぶばかりだ。
こんな感じでもう三日も過ごしている。
壁の薄い狭いアパートなので、虐待とか疑われたら、なんてことが頭に過ぎるほど瑞樹のいやいやはエスカレートしていた。
『もう、私の方が泣きたくなっちゃいました』
昨日は桜子さんと同じ時間のお迎えになり、ついつい愚痴を言ったら、『分かるわ』と大きく頷いてくれたので少しだけ気分が持ち直した。