ツンの恩返しに、僕は108本のバラを贈るよ
父は姉も私も同等に可愛がってくれた。でも、姉と私とでは可愛がり方が違ったように思う。言うなれば姉は父の姫で私は子犬。そんな感じだった。
別にそれが不服だったということではない。ただ、ペットにしろ姫にしろ父親にとって娘は無条件に可愛いかったのだな、と今なら思える。
瑞樹に対しての副社長もそんな感じなのだろう。自分の子でもないのに……。
***
副社長の行きつけの病院に向かい、診察してもらうと伝染性紅斑、通称りんご病だと判明した。
次の日、保育園にお休みの連絡を入れると、やはり同じような症状で、数人から「休みます」と連絡が入ったらしい。
「納涼祭は参加できないね」
瑞樹は納涼祭が何なのかいまいち分かっていないのでガッカリはしないが、私はちょっと残念だった。一つでも二つでも姉の代わりに瑞樹との思い出を増やしたいと思っていたからだ。
「僕も残念だ」
行く気満々だった副社長がガックリと肩を落とし、「瑞樹が完治するまで会社に来なくていい」とこれまた淋しげに言う。
「えっ! いいんですか?」
「ああ、とうぶん剣持に世話をさせる」
ならずっと……と心の中で呟くと、「瑞樹が完治したらすぐにカムバックしろ」と有無も言わさぬ眼が睨む。
時々思うがこの人は超能力者?
だが、「馬鹿か! お前の顔を見ればお見通しだ」とまた心を読まれてしまった。怖い人だ。
別にそれが不服だったということではない。ただ、ペットにしろ姫にしろ父親にとって娘は無条件に可愛いかったのだな、と今なら思える。
瑞樹に対しての副社長もそんな感じなのだろう。自分の子でもないのに……。
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副社長の行きつけの病院に向かい、診察してもらうと伝染性紅斑、通称りんご病だと判明した。
次の日、保育園にお休みの連絡を入れると、やはり同じような症状で、数人から「休みます」と連絡が入ったらしい。
「納涼祭は参加できないね」
瑞樹は納涼祭が何なのかいまいち分かっていないのでガッカリはしないが、私はちょっと残念だった。一つでも二つでも姉の代わりに瑞樹との思い出を増やしたいと思っていたからだ。
「僕も残念だ」
行く気満々だった副社長がガックリと肩を落とし、「瑞樹が完治するまで会社に来なくていい」とこれまた淋しげに言う。
「えっ! いいんですか?」
「ああ、とうぶん剣持に世話をさせる」
ならずっと……と心の中で呟くと、「瑞樹が完治したらすぐにカムバックしろ」と有無も言わさぬ眼が睨む。
時々思うがこの人は超能力者?
だが、「馬鹿か! お前の顔を見ればお見通しだ」とまた心を読まれてしまった。怖い人だ。