君の吐息に合わせて目を閉じた

 頭上の鳥が間の抜けた声を出して鳴いた。

 カラスだった。

 散髪を面倒くさがった結果、伸びすぎた前髪を風が揺らした。

 目の前の女の子は、当たり前の様に僕を殺すと言った。

 笑顔だった。

 「…えーと?」

 聞き返せば笑顔で頷く。

 「はい。殺します」

 「…僕何か誰かに恨まれてるの?」

 「そんなそんな」

 聞けば、女の子は伏し目がちに僕を覗き込んできた。

 何か間違っていることがあるだろうかと僕に確認するような目で。

 「…もし」

 言いかけた時始業を告げるベルが鳴った。

 やけに間延びした、聞きなれた音のはずなのに。 
< 4 / 4 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

囁きと蜜
水陰/著

総文字数/1,534

恋愛(純愛)4ページ

表紙を見る
わたがし
水陰/著

総文字数/1,613

ファンタジー6ページ

表紙を見る
黒の双剣、白き犬
水陰/著

総文字数/591

ファンタジー2ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop