君の隣でその白いドレスを着たくて
第1章
図書室
5月。
真新しい制服に胸の高鳴りを覚えた入学式から、はやくも1ヶ月が過ぎた。
学校にもだんだんと慣れてきて、知り合いが一人もいなかった教室にも、今ではすっかり溶け込んで、友達もそれなりにできた。
空がオレンジ色に染まってきた。
早く帰ろうと足を進めるあたしの目の前に、白いものが舞い降りる。
「紙・・・?なんで上から・・・?」
地面に落ちてしまったそれを拾い、上を見上げる。
「あそこかな。」
カーテンがはためいている窓がひとつだけあり、きっとそこから落ちたのだと思った。
あたしはそれを持ったまま図書室へと向かう。
これって服のデザインだよね・・?
歩みを進めながらも、どんな人がこれを書いているのか少し想像したりしていた。
「失礼しまーす。」
そういいながら扉を開ける。
静かな部屋に自分の声だけが響く。
< 1 / 172 >