君の隣でその白いドレスを着たくて
陽華はまだ、か細い声で、途切れ途切れでしか話せないようだった。
僕のことがわからなくても、今までの意識がない状態と比べればなんてことはない。
僕のことはこれから少しずつ知っていってもらえれば、それで構わない。
「新海陽華さん。
僕は五十嵐幸樹。
嫌じゃなければ、これから度々会いに来てもいいかな?」
陽華に優しく声をかけると、笑顔で小さく頷いたのがわかった。
陽華の両親は担当医に話があるからと言われ、病室を出ていった。
僕の両親も、仕事を抜けてきたからと、部屋を出ていく。
病室にはふたり取り残された。
陽華にはたくさん話したいことがあるはずなのに、いざとなると何も出てこなくて、ただただ陽華と見つめ合っていた。