君の隣でその白いドレスを着たくて
結婚式
最近、以前よりも五十嵐先輩と新海さんの距離が近いように思える。
今までも十分仲の良いふたりではあったけれど、今のふたりのような甘い雰囲気は漂っていなかったように思う。
それが近頃は付き合いたてのカップルかのような雰囲気を感じる。
新海さんが戻ってきてからはすっかり五十嵐先輩と話すことも無くなったあたしは、ただただそんなふたりを見ているしか無かった。
「高木さん。少しいいかな。」
いつもの様に新海さんを教室まで迎えに来た五十嵐先輩に話しかけられる。
普段は挨拶程度なのに、どうしたんだろう……。
不思議に思う一方、五十嵐先輩と話せるのが嬉しくて胸が高鳴る自分もいる。
「どうかしましたか?」
「……実は、陽華の記憶が戻ったんだ。」
それを聞いて最近のふたりの様子に納得すると同時に、とても穏やかな表情の先輩を見て、少しも勝ち目がないことを改めて実感する。
「……それは、よかったですね。」
「うん、本当に。
それでさ、僕が卒業したら式を挙げる予定なんだけど、良ければ高木さんも来てくれないかと思って。」
想像もしていなかった突然の言葉に、心拍数が上がって、末端から冷えていくのを感じる。