君の隣でその白いドレスを着たくて
自分に可能性が無いのは頭ではわかっていた。
最近の様子と、さっきの先輩の様子で、身に染みて感じていた。
本当に充分すぎるくらい分かってはいたけれど、それでもなお、どこかで、もしかしたら、何かのきっかけで、いつか自分を選んでくれるかもしれない、という期待をしていた。
それが今見事に打ち砕かれて、本当の本当にこれで自分の気持ちは届かないんだと思い知らされる。
「高木さんの協力もあって、陽華が喜んでくれるドレスも完成した。
式が早く挙げられるのは高木さんのおかげもあるし、よければ実際にドレスも見て欲しいと思ったんだけど、どう?もちろん無理にとは言わないけど。」
「……行きたいです。ぜひ行かせてください。」
行きたくないけど、行きたい。
行ってきっぱりと諦めよう。
「そう言ってくれて嬉しいよ。ありがとう。
じゃあまた詳細が決まったら教えるから。」
「はい。」
それだけ言うと、先輩は笑顔で新海さんの方へ戻っていった。
先輩が新海さんに少し話しかけると、新海さんは笑顔でこちらを見る。
きっとあたしが結婚式に行くことを伝えたんだろう。
新海さんも本当にいい人で、なんの恨みもないけれど、つい、今のあたしに笑顔を向けないで欲しいと思ってしまった。
「どうしたの、梨々。なんかあった?」
提出物を出しに行っていた教室に佳奈が戻ってきて、あたしの顔を見た途端、心配そうな顔をする。
「ううん。大したことじゃないよ。帰ろっか。」
別に隠すことでもないけど、今話すと絶対に泣いてしまう。
先輩たちの前で泣くのは嫌だ。
そんなあたしを知ってか知らずか、佳奈はそれ以上何も聞かずに、いつも通り居てくれた。