君の隣でその白いドレスを着たくて
「……佳奈。」
「うん?」
「先輩、卒業したら結婚するって……。」
いつも佳奈と別れている岐路に着く頃、あたしは佳奈にそのことを伝えた。
「そっか。それでさっきあんな顔してたんだね。
辛いね……。」
佳奈はそう言ってあたしに近づくと、ぎゅーっと抱きしめてくれる。
「……うん。」
それは少し涙声だったかもしれない。
ギリギリのところで泣きはしなかったが、瞳には涙が溜まっていたと思う。
佳奈はしばらくそのままでいてくれて、佳奈にその顔を見られることは無かった。
「もう大丈夫。ありがとう佳奈。」
「どういたしまして。
次の休み、どっか行こうね!」
「うん。」
佳奈とはいつも通りの場所で別れたけど、佳奈のおかげでさっきよりも幾分か気持ちが軽くなっているのがわかった。
けどまだ、今の状況を受け止めきれない自分もいる。
でもあたしが受け止めるとか受け止めきれないとか、ふたりの結婚にそんなのは関係なくて……。
ただ、時間が解決してくれるのを待つしか無かった。