君の隣でその白いドレスを着たくて




結局その日からずっと、五十嵐先輩が新海さんと結婚することが現実に起きるということが、想像できないままでいた。

でもその間にも時間はどんどん過ぎていって、今日は五十嵐先輩と新海さんの結婚式の当日。


数日前からいろんな意味でドキドキして、昨夜もなかなか寝付けなかった。


そしてあたしは、とうとう式場についてしまった。


新郎新婦以外に見知った人も特に居ないため、心細い気持ちを抱いたまま、後ろの端の方の席に座る。

回復したばかりの新海さんを想って人数はそれ程呼んでいないようたけど、それも相まってアウェイ感がすごい……。


少しして音楽が流れ始めると共に中央の大きな扉が開き、新郎新婦が入場する。


ふたりはきっといい笑顔だったんだろう。

けどあたしは二人を直視することが出来ず、彼が新海さんのために自作したのであろうドレスを、ただ眺めていた。


新海さんによく似合う、あたしの好みとは違うドレス。

そんなのは当たり前だけど、胸が苦しくなる。


なにも頭に入ってこないまま、式はあっという間に終わった。



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