君の隣でその白いドレスを着たくて




場所を移動して披露宴。


席は用意されているが、両隣に知らない人が座るのかもしれないと思うと、なんとなく気まずい。



「久しぶりだね、高木さん。」



ふいに後ろから声をかけられ振り返ると、スーツに身を包んだ永渡先輩が、笑顔で立っていた。

そしてあたしの隣に座る。


確かに五十嵐先輩と仲が良かったし、呼ばれていてもおかしくない。

あたしは知っている人に出会って少し安心する。



「永渡先輩。お久しぶりです。」



「式の時は気づかなかったけど、知っている人がいてよかった。」



「あたしもです。
結婚式にひとりで来るのは初めてだし、知らない人ばかりでちょっと不安でした。」



「だよね、俺も。
それに高木さんもこの1年で大人っぽくなってて、声掛けていいのか迷った。」



「えっ、そんなに変わってますか?」



「うん。綺麗になった。」



こういうことをサラッと言ってしまうのが永渡先輩で、だからモテるんだろうと思う。



「……ありがとうございます。」



「どういたしまして。」



そう言ってにこっと笑う先輩は、スーツの効果もあってか以前より大人っぽくて、あたしなんかよりもずいぶんと濃い1年を送ってきてそうだ。



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