君の隣でその白いドレスを着たくて
スピーチや諸々がひと通り終わって、新郎新婦の元へ声を掛けにいく人も多く見られる中、あたしは少し人が落ち着いてから行こうと思い、ひとまずテーブルに留まっていた。
「それにしても高木さん、好きな人が別の人と挙げる結婚式に来るなんて、勇気あるよね。」
ふいに思ってもみないことが永渡先輩の方から聞こえ、驚く。
「……知ってたんですか。
あたしが五十嵐先輩を好きってこと。」
「見てたら分かるよ。
俺も同じだからね。」
「……同じ……?」
「陽華のこと、好きなんだ。もうずっと。
多分コウが陽華を好きになるよりも前から。」
「……あたしより永渡先輩の方が勇気あるじゃないですか。」
「ははっ、ほんとにね。」
永渡先輩は苦い笑みを浮かべた。
あたしなんか比じゃないくらい辛いはずなのに、なんで……。
「なんで来たんですか?辛くないんですか?」
「辛いよ。だからこそ来た。
身をもって知れば、陽華のこと諦められるかなって……。
そういう高木さんは?」
「あたしも先輩と同じです。
ここに来れば諦められるかなって。」
「諦められそう?」
「今のところ辛いだけで、諦められるかはまだ……。」
「だよね〜。俺も。
陽華がコウと出会う前に俺がもっと陽華と仲良くなっていればとか、好きになった時点でさっさと告っちゃえば違ったのかもとか、そういうのばっか考えてる。
ダメだね。今日はめでたい日なのに。」
「そんな事ないですよ。
それだけ好きってことでしょう?」
「優しいね、高木さんは。
でも俺、ちゃんと祝福の気持ちもあるんだよ。
コウと陽華がお互いのことを大好きなこと、よくわかってるから。」