君の隣でその白いドレスを着たくて




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長いようで短いような時間が終わり、あたしは永渡先輩と会場の外へ出る。



「高木さん。今日はありがとう。
おかげでちゃんとふたりにお祝い言えたよ。」



「こちらこそ、ありがとうございました。
ひとりだったら途中で心が折れてたと思います。」



「じゃあお互いさまだ?」



「ですね。」



「高木さんは駅の方向かう?」



「はい。」



「じゃあ一緒に行ってもいい?」



「もちろんです。」



駅に向かう道中で、先輩は大学生活の話をしてくれた。

大変そうだけど楽しそうで、自分も早く今の状況から抜け出して、そこへ行きたいと思った。


そんなに遠くないこともあって、あっという間に駅に着き、特に連絡先も交換しないまま、永渡先輩と別れる。


帰りの電車でふと高校生活を思い出せば、思い出すのは五十嵐先輩のことばかりだった。


入学して1ヶ月程度で先輩に出会って、それからはずっと振り回されていたように思う。

それなのに1年の後半から急に姿を見せなくなって、

2年生に上がれば新海さんという最強の存在が現れると同時に、五十嵐先輩との間に大きな壁ができたように感じた。


まだあと1年ある高校生活。

あたしは卒業するときも、五十嵐先輩への気持ちを抱えたままなのだろうか。

この苦しさ、モヤモヤが一体いつまで続くのだろうか。



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