君の隣でその白いドレスを着たくて
本のにおいがした。
いや、ほんとにこれが本のにおいかどうかはわからないけれど、図書室独特のにおいがした。
部屋に入ってすぐ左手にはカウンターがあり、図書委員だと思われる女の子が静かに本を読んでいた。
図書室に入るのなんて、学校案内以来だな・・・。
少し緊張したけれど、外が暗くなってしまう前に早くそれを渡して帰ろうと、部屋に足を踏み入れた。
位置的に考えてたぶん、紙が落ちてきたあの窓は、図書室の奥にある読書スペース。
「・・・あのー・・・。」
目的の窓の前には気持ちよさそうに眠っている男子生徒がひとり。
声をかけてもおきる様子はない。
彼の眠る机の上には、あたしが拾った紙と同じく、服のデザインだと思われるものが書かれた紙が、無数にちらばっていた。
起こさないほうがいいのかな・・。
とりあえずまた紙が落ちないようにと窓を閉めたあと、床に落ちている何枚かの紙を拾い上げ、男子生徒の眠っている脇にそっとおく。