君の隣でその白いドレスを着たくて
― 放課後 ―
「失礼します。」
以前より少し、入るのにドキドキしなかった図書室。
静かに入ってそーっと扉を閉め、五十嵐先輩がいるであろう場所へと向かう。
「先輩。」
熱心に紙に何かをかいている先輩に、声をかけないほうがいいかなと思いながらも、声をかけてみる。
「来たんだね。」
「はい。」
「じゃあ早速だけど、これ着てみて。」
手渡されたのは、薄いピンク色の生地に花の模様があしらわれている、ワンピース。
「君と違って穏やかな感じの子なんだ。
きっとこの柄と色、形は彼女に似合うと思ってね。」
そういった彼の顔は、今まで見たことのないくらいのやさしい顔だった。
こんな顔、できるんだ・・・。
「なに。僕の顔になんかついてる?」
「いや、別に・・・。」