君の隣でその白いドレスを着たくて
「そろそろ帰ろっか?」
佳奈がそう言って声をかけてきたのは19:30。
もう外も暗くなっていた。
「そうだね。」
「ごめんね。遅くまで付き合わせちゃって。」
「ううん。大丈夫だよ。」
「ありがとう。」
ふたりで図書館を出て、帰路を歩く。
佳奈の家の方が図書館から近くて、あたしはすぐにひとりになってしまう。
「何してんの。」
ひとりで家へと歩みを進めていると、背後から声をかけられた。
振り返ると、そこには五十嵐先輩が立っている。
「友達と図書館で勉強してて・・・。
先輩はどうして・・・?」
「そこアトリエ。
これから家に帰るとこ。」
先輩は後ろを顎で指す。
確かにあたしは、先輩のアトリエのあるアパートを横切ったところだった。