君の隣でその白いドレスを着たくて
「おー。」
永渡と呼ばれた彼のその言葉が合図であったかのように、“コウ”と呼ばれた態度の悪い彼は、あたしの教科書を持ってないほうの手首をつかんだ。
「なにがよろしくなんですか?
えっ、あっ、ちょっと!」
男にしては華奢な体つきに似合わず、強い力で手首をつかまれ、そのまま引っ張っていかれる。
振り払おうにも術がなくて、されるがままになってしまう。
「どこに向かってるんですか?
あたしは化学室にむかわなければいけなくて・・・。」
「うるさい。少しは静かにできないの?」
はい?意味もわからず連れて行かれてるのに、理由も聞かず黙ってろと?
「あのっ!」
「なに。まったくうるさい人だね。」
「離してください。授業があるんです。」
「そんなものでなくていいよ。」
「なんであなたにそんなこと言われないといけないんですか。」