俺様外科医の極甘プロポーズ

「その患者、殺すなよ」

「わかってますよ」

 まったく、口だけは達者だな。

「あの、晴也先生すみません。ひとつお願いがあります」

 俺は下げたくない頭を下げて、副院長に言付けを頼んだ。

花村に、今日の予定はキャンセルさせてほしい。埋め合わせは必ずするからと、そう伝えてくれと。

突然のキャンセル。しかも、副院長からそれを聞かされるなんていい気持ちはしないはずだ。それでも彼女はきっと理解してくれる。俺の仕事を理解してくれているから。

「ああいいぞ。俺が伝えてやろう」

副院長がすんなり承諾してくれたのにはなんとなく違和感があったが、背に腹は代えられない。携帯電話は医局の机の上にある。直接連絡を取りたくてもできない。そもそもそんな時間なんて今の自分にはない。

最後の望みをかけて古巣のT大病院へ電話をかけた。

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