俺様外科医の極甘プロポーズ
「いったいどっちなのよ」
「どっちだっていいだろう。今は目の前に仕事をこなすだけで精いっぱいだ」
そう、今は院長になることよりも病院をどう立て直すかしか考える余裕しかない。遠い未来のことまで、背負うほどの余裕はない。
「柏瀬先生はまじめだよね。自分のするべきことをブレずにやっていれば未来は明るいはずだよ」
森先生はいった。
「そうですね」
俺は俺の信じる道を歩くだけだ。変に欲を出してもいいことなんて何もない。
「じゃあ、飲もうか」
「はい」
俺は森先生のグラスにビールを注ぎ、乾杯する。食事は文句なしにおいしかった。
万由里は店の人にわがままを言って、メニューにない料理を注文している。相変わらずだなと思いつつ、俺は森先生と話に花を咲かせる。
森先生の話はとてもためになった。そしてこれからも同じ外科医として協力は惜しまないと約束してくれた。
そんな森先生と万由里に進められるがまま酒を飲んでいたら、飲み過ぎてしまったようだ。
料亭を出て、森先生行きつけのバーへ向かったが、そのあとのことはあまりよく覚えていない。