俺様外科医の極甘プロポーズ

 翌朝目覚めると万由里の部屋だった。ベッドから跳ね起きると万由里は鼻歌を歌いながらコーヒーを入れていた。

「おはよう、壱也」

「万由里。俺、どうしてここにいるんだ?」

 情けないことに、全く記憶がない。

「覚えてないの? べろんべろんに酔っぱらって一人で家に帰れなさそうだったから連れて帰ってきたのよ」

「そうか。申し訳なかった」

「ずいぶん他人行儀ね。コーヒー入ったけど、先にシャワー浴びる?」

「……いや、帰るよ」

 花村にも直接会って謝らないと。俺は時計を見た。するともうすぐ七時になろうとしている。

「まずい! 間に合わない」

「そう? 家に戻って着替えてから駅に向かえば十分間に合うじゃない」

 確かに家で着替えて駅に向かえば間に合う。でも、病院に置いてきた荷物を取りに戻ると完全に遅刻だ。

「病院に戻る時間がないんだよ。パソコンも、携帯も財布も置いてきた」

「病院には私がいこうか?」

「……頼む」

 今回の学会で論文の発表を予定している俺には遅刻は許されない。だから万由里の申し出を断るという選択はできなかった。

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