俺様外科医の極甘プロポーズ

「……うそだろ」

 携帯を持つ手が震えた。

花村には伝わってなかったのだ。伝えなかったのは副院長だ。

副院長への怒りは不思議とわかなかった。それよりも、自分のしたことの後悔に押しつぶさえそうだ。

あの時、内線で花村に直接電話をすればよかった。それかせめて、副院長以外に伝言を頼めばよかった。今考えれば、いろんな手段があったはずなのに、それをしなかったのは自分のせいだ。

花村は約束の時間にレストランで俺が来るのを待っていたのだろう。

クリスマスの夜に、ひとりぼっちで。どんな気持ちだったかなんて計り知れない。許してくれるかはわからないけれど、今すぐ彼女を抱きしめて謝りたい。しかし、今ここから東京へ引き返すなんてできない。

俺はデッキで花村に電話をかける。

仕事中なのは百も承知だ。ただ、何もしないでいることなんてできなかった。

花村の携帯電話に着信を残し、メッセージを送った。

とにかく学会が終わったら急いで彼女のもとへ向かおう。

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