俺様外科医の極甘プロポーズ
玄関のドアを開け、リングへと向かう。
「ただいま」
誰もいない部屋に自分の声がこだまする。花村はまだ帰ってきていないのか。携帯にはまだ何の連絡もない。俺が送ったメッセージはかろうじて既読に代わっていた。
俺は彼女の帰りを待った。けれど、何時になっても玄関の度は開く気配がない。
電話をかけてみたけれど、彼女が電話に出ることはなかった。
俺は車のカギを手にすると彼女を探しに行くことに決めた。
自分のアパートに帰ってくれているのならまだいいが、以前のように変な男に引っかかっている可能性も考えられる。
念のため繁華街を通り抜け、花村のアパートへと車を走らせる。
近くのコインパーキングに駐車すると彼女の部屋を見上げる。
カーテンがひかれた窓からは部屋の明かりが漏れていた。
「……ここにいたのか」
俺はオートロックのドアの前に立ち彼女の部屋番号を押す。
「……はい」
「りさ」
「先生?」
「うん、昨日はごめん。いろいろ誤解が……」
いい終わらないうちに花村は冷たく言い放つ。
「帰ってください!」
プツリと通話が途切れた音がした。
相当怒っているようだ。でも、誤解を解かなければ帰れない。
俺はもう一度インターフォンを押す。
けれど、いくら待っても彼女が出てくれることはなかった。