俺様外科医の極甘プロポーズ
夕方。仕事が終わった私は外科外来の診察室のドアをたたく。
「どうぞ」
壱也先生の声がして私はゆっくりとドアを開けた。すると先生は少し疲れた顔をして診察室のデスクの椅子に座っていた。
「お疲れ様です」
「お疲れさま。仕事終わった?」
「はい」
「俺もようやく一息付けたよ。そこ、座れよ」
壱也先生に促されて、私は診察室のベッド腰を下ろした。
「それで話って?」
「ああ。まずはクリスマスの日のことを謝りたい」
先生は深々と頭を下げると、ゆっくりと話し始める。
「あの日の夕方、俺は救急搬送されてきた女子高校生の対応に追われていた」
予定の時間に仕事が終わらないと判断した先生は、副院長へ私の伝言を頼んだ。
携帯も財布も持たずにT大病院へ患者の転院搬送をして手術に立ち会い、お礼のために大学病院のスタッフと食事に出かけた。
「副院長は君に俺からの伝言を伝えなかったんだろう?」
そう。晴也先生に会った時、先生は壱也先生のことなんてなにも言わなかった。
「はい。だから私は先生が来ると思って待っていました」
ひとりレストランで先生が来るのをずっと待っていたんだ。
「本当にごめん」
先生はまた頭を下げる。そんな先生の姿に私の心は揺り動かされる。