俺様外科医の極甘プロポーズ
「冴島先生はいま、カナダだったかな。どうした別れたのかは聞かないが、彼にはお前が次々に男を乗り換える節操のない女にしか見えないけどな」
大手先生は壱也先生の前に立って右手を振り上げる。
「それで気が済むなら、叩けよ」
いい終わるか終わらないかでパンと乾いた音が鳴った。
「私、死ぬから」
大手先生はそう言い残すと診察室を飛び出した。
「壱也先生、追わなくていいんですか?」
「いい。その必要はない」
「……探してきます」
私は診察室をでると、大手先生を追いかけた。
あいにくエレベーターは二機とも降りてきそうにはなく、階段で屋上まで登った。リアルには考えたくないけれど、本当に命を絶つとすれば、ここしかないと思った。