俺様外科医の極甘プロポーズ
病院を出ると先生の車に乗り込んだ。そして私のアパートへと向かう。到着するとコインパーキングに駐車して一緒に車を降りた。
「散らかってますけど、どうぞ」
考えてみれば男性を家に上げるのはこれが初めてだ。
「おじゃまします」
私の狭い部屋に高身長の先生が入ると余計に狭く感じる。
「コーヒーを入れるんで適当に座っていてください」
そう言ってキッチンに体を向けた瞬間、先生は背後から私を抱きしめる。
「コーヒーなんていらないよ。やっと二人きりになれたんだから俺のそばにいろよ」
「あの、先生」
心臓が壊れそうだ。どうにか逃れようと身をよじると先生はさらに腕に力を籠める。
「……違う。壱也、だよ」
先生は私の耳元でそうつぶやいた。
「そうやっていつまでも先生呼びしてるから余計に距離をかんじるんじゃねえの?」
先生は私を抱いていた腕の力を緩めると、私の肩をつかんで向かい合わせにさせる。
至近距離で見る先生の顔は相変わらずきれいで、こんな状況なのにも関わらず思わず見とれてしまいそうになる。
「……先生」
「りさ。俺はお前を失いかけて気づいたことがあるんだ」
「気づいたこと? それはなんですか?」
「俺にとってりさが、どれだけ大切な存在かってこと。それが痛いほどよくわかった」
「私も一緒です。いつの間にか壱也さんのことを大好きになっていました」
それぞれに思いを打ち明けた後、私たちはどちらともなく唇を合わせる。
「久しぶりだからか、なんだか照れ臭いな」
「そうですね。でも、とっても幸せです」
それから失った時間を埋めるように明け方までお互いを求めあった。