俺様外科医の極甘プロポーズ

マンションに帰り軽くシャワーを浴びた後で私はリビングのソファーでくつろいでいる先生に聞いた。

「ねえ壱也さん」

「ん、なんだ?」

「プロポーズのあとになんて言ったんですか?」

 私の質問に先生は操作していたスマートフォンを床に落としそうになる。

「おいおい。聞いてなかったのかよ」

「聞こえなかったんですよ」

 大騒ぎになってしまい、先生の声は全く聞こえなかったのだ。もう一度聞かせてくれるもと思い待っていると、先生はそっけなく言った。

「二度も言うかよ」

「そんなのずるいですよ」

 一生に一度のプロポーズの言葉くらいすべて覚えていたいと思うのが女心というものではないか。

「なにがずるいんだよ。聞いてなかった方が悪い」

「聞こえるように言わなかった方が悪いんです」

 ツンとしてそっぽを向くと、先生は「わかったよ」と言いながらため息を吐いた。

「仕方ないな。じゃあ言うよ。もう二度と言わないからよく聞いていろよ」

「はい。わかりました!」

 私は姿勢を正すと先生の顔をじっと見つめた。先生は話しにくそうに視線をずらすとゆっくりと口を開く。

「……これからは安心して俺に愛されていればいい」

「それって、私が不安になるって言ったからですか?」

 そう。大手先生との誤解が解けたときに不安にさせないだ欲しいといったのだ。

「ああ、そうだ」

「安心して俺に愛されていればいいか。私、先生に愛されていていいんですね」

「……おい。繰り返すな」

「別にいいじゃないですか。私とっても幸せです。俺に愛されていればいい」

「勝手にしろ!」

いい方はぶっきらぼうだけれど、顔が真っ赤でかわいい。こんな先生の表情を見ることができるのは私くらいなものだろう。自慢したいけれど、できない。病院には先生のファンがたくさんいるから。

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