俺様外科医の極甘プロポーズ

翌週の週末、花村の両親へ挨拶に行くことが決まった。彼女の父親は警察官で、母親は介護士として老人ホームで働いている。思えば彼女の家族の話を聞くのはこれが初めてだった。

新幹線の中で、彼女の作ったお弁当を食べながら、生い立ちからご両親の話までいろんなことを聞いた。
三人兄弟の長女として生まれ、家を空けがちな両親の代わりに小さい弟たちの面倒をみていたと。

「料理はね、それで覚えたんですよ。弟たちにせがまれて、割といろんなものを作らされました」

「へえ、そうなんだ。俺がおいしいご飯を食べられているのは、弟さんたちのおかげかな」

「そうかもしれませんね。……あ、壱也さんお茶もう少し飲みますか?」

 俺のカップが空だったことに気が付いた花村は、ポットのお茶を勧めてくれる。

「ありがとう。もらうよ。りさは本当に気が利くね」

「そうですか~はいどうぞ!」

 そう言って花村は笑った。彼女の面倒見の良さはきっとそんなところからきているのだろう。そして正義感は父親、優しさは母親譲りか。

俺が知っている花村はほんの一部分なんだろう。

もっともっと知りたい。誰も知らない彼女を見たい。そう思うのは欲張りだろうか。


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