俺様外科医の極甘プロポーズ
昼過ぎに私は目を覚ました。瞬きをするだけで、ひどい頭痛がする。ついでに吐き気も伴って、起き上がれそうもない。調子に乗って飲みすぎた。後悔が押し寄せる。
でも私は悪くない!こうなったのもすべて、壱也先生のせいだ。顔をおもいだすだけで頭の痛みが増強する。なんて最悪な寝起き。今日が夜勤で本当に良かったと思う。
「……うう。頭痛い。気持ちわるい。もう少し寝てよう」
夜勤の日は出勤前にジムで汗を流すことにしていたけれど、今日はできそうもない。気が済むまで二度寝をするともぞもぞと布団から抜け出して、冷蔵庫からミネラルウオーターのボトルを取り出した。けれど、コップに移すのも億劫でそのまま口をつけた。
キンと冷えた水をいっきに飲みこむと、鉛が詰まったような胃の痛みは少しだけ落ち着いた。けれど頭の痛みだけは取れそうもない。
「はあ……」
もやもやを吐き出すように大きなため息を吐く。
そろそろシャワーを浴びて、メイクをしなければ。洗濯機を回して身支度を整えたら早めに家を出よう。昨日やれずに置いてきたマニュアルの作業の続きをしなければ。
そうと決まれば行動あるのみ。私は床から立ち上がるとバスルームに向かった。熱いシャワーを浴びて気合を入れる。
リビングの鏡の目で化粧水を丁寧にたたき、ファンデーションを付ける。ああ、やっぱりノリが悪い。
最近は不摂生がすぐ肌に出る。昼夜問わず働いていると老けるのが早いというのは本当なのかもしれない。それに加えて壱也先生のストレスが上乗せされている。ああおそろしい。私は身震いする。気分だけでも明るくしようとレモン色の春ニットにデニムスカートを合わせる。洗濯物を部屋の隅に干すと、私は病院へと向かった。