俺様外科医の極甘プロポーズ
これから二人で指輪を見に行く約束をしている。婚約指輪はいらないといったのだけれど、どうしても送りたいからと壱也先生が言ってくれた。だけど、なかなか休みが合わないので、仕事帰りに行くことにしたのだ。
三十分ほど待って、壱也先生からの電話があった。私は残ったカフェラテを飲み干すと会計を済ませて外にでる。
するとちょうど壱也先生の車が路肩に停車して、私は駆け寄っていった。
「壱也さん」
「りさ。待たせてごめんな。さあ、乗って!」
私はドアを開けると助手席に乗り込んだ。シートベルトをつけると先生は車をゆっくりと走らせる。
「初日どうだった?」
「失敗しちゃいました」
私は今日あった出来事をすべて話した。先生はただ黙って私の話を聞いてくれる。
「そうか、大変だったな。じゃあもう外科に戻ってくる?」
「それはまだ考えていません。私頑張りたいんです。晴也先生も応援してくれているし」
「またあいつの話かよ」
先生はむすっとした顔で言った。
「すみません」
確かに、昼休みから晴也先生の話ばかりしている。私が先生の立場だったらあまりいい気持ちはしないだろう。
「別に謝らなくていいよ。ただの嫉妬だ。ごめん、りさ。この話はもうやめよう」
先生はおどけたように言ってカーステレオの音量を少しだけ上げた。
「そうですね。じゃあ、何を話しましょうか?」
「そうだな。晩ご飯は何にしようか、とか。帰りにどこかで食べて行こうぜ。部署異動のお祝い」
「本当ですか。私、お寿司が食べたいです」
「いいね、そうしよう」
それからは、どこのお寿司屋さんに行こうかという話で盛り上がり、気づけば目的のジュエリーショップはもうすぐそこだ。