俺様外科医の極甘プロポーズ

有料パーキングに車を止めるとそこから歩いて店まで向かう。

老舗ブランドの路面店は、その前に立つだけで気後れするほどの高級感を放っている。

「いらっしゃいませ」

 天井まである大きなドアを開けてもらい中に入ると黒のスーツを着た女性の店員さんが出迎えてくれた。

「柏瀬様。本日はご来店いただきましてありがとうございます。おっしゃっていただければ、お好みのものをお探しいたしますよ」

「はい。ありがとうございます。でも自分で探してもいいですか?」

「もちろんです」

 どんな指輪が欲しいかなんてうまく言葉にできる自信がない。とにかく私は自分の目で見たかった。

「壱也さん、いい?」

「いいよ。いろいろ見て決めよう」

 私はショーケースの中の指輪をじっくりと見て回った。先生は飽きることなく私のそばにいてくれる。


< 162 / 185 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop