俺様外科医の極甘プロポーズ

病院に着いたのは午後三時。

ロッカーで白衣に着替え、荷物を抱えてエレベーターに飛び乗る。ナースステーションを横切ろうとすると、カウンターに見慣れないファイルが置いてあった。

「お疲れ様です。これ、どうしたんですか?」

 たまたま近くにいた上野主任に聞くと、耳を疑う言葉が返ってきた。

「知らない。朝来たら置いてあったの」

「おいてあった?」

「夜勤の看護師も自分たちじゃないって言ってたし、私は花村が作ったんだと思ってたけど、違うの?」

 確かにマニュアルを作ろうと思っていたのだけれど、先生に邪魔されて仕上げられなかった。

「違います。わたしじゃありません……」

これを置いていったのは絶対に壱也先生だ。無駄だとかなんだとか、あんな言い方しないで「マニュアルなら僕が持っているものがあるよ。だから残業するひつようはないよ」って素直に言えばいいじゃないか。ほんと優しくない。

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