俺様外科医の極甘プロポーズ
「本当にうるさい女だな君は。僕の趣味じゃないけど、仕方ないか」
「なにするんですか?」
「壱也の大切にしているものは、全部壊してやる」
晴也先生は私を引きずるようにしてベッドに押し倒した。逃げようと必死でもがいたけれど、男性の力には抗えない。
「壱也さん」
壱也先生の言葉を信ればよかった。晴也先生の優しさは全部見せかけだったなんて。
私はどうしようもないバカな女だ。涙で滲んだ視界に、晴也先生の顔が迫ってくる。
「助けて」
そう叫んだとき、部屋のドアチャイムが鳴った。晴也先生も気づいたのか、ぴたりと動きを止める。
「……誰だ?」
晴也先生がドアの方に視線を向けた瞬間に私は右足を跳ね上げて先生の足の間を蹴り上げる。
不意打ちを食らった先生は、私を抑えていた腕に力をゆるめた。
その瞬間、私は急いで起き上がるとベッドを降りてドアへと駆け寄る。
その間にもなり続けているチャイム。
明らかにおかしい。でも外にいる人が、何者でもよかった。晴也先生よりはずっとましだ。