俺様外科医の極甘プロポーズ
「ボコボコになるまで殴ってやりたいが、それだけはしないと情報提供者と約束をした」
情報提供者?私と同じ疑問を持ったのだろう。
「情報提供者だと?」
晴也先生は低い声でそう聴いた。
「ああ、そうだ」
「だれだよそいつは!」
「いわない約束だ」
「ふざけるな!」
壁をけるような音が聞こえて、私は体を竦める。すると壱也先生は私の耳元で「だいじょうぶだよ」とささやいてくれる。
「いいから言えよ!」
「いいや、言わない。今回だけは、その人に免じて許してやる。警察沙汰にもしない。院長にも報告しない。だから、ぐだぐだ言ってないで今すぐここから出ていけ!」
「くそ!」
晴也先生の怒りに震える声と息遣い、足音、耳の届くすべてが恐ろしい。
「……りさ、もう大丈夫だよ。やつはもういない」
おそるおそる顔を上げた。晴也先生は荷物をかき集めて出て行ったようだ。
「部屋に入れる?」
そう聞いたのは、震えが止まらない私を気遣ってのことだ。
「……はい」
壱也先生がそばにいてくれたらきっと大丈夫。
先生は私を連れて部屋の中に入ると私をベッドの上に座らせた。
「りさ。本当に何もされてない?」
こくりとうなずくと、先生は「よかった」といいながら目を潤ませる。
「怖かっただろう」
先生は、晴也先生が触れたであろう私の体のすべての個所に優しくキスをしてくれる。その温かさを感じながら、私は大声で泣いた。