俺様外科医の極甘プロポーズ

するとそこにはソファーに座ったまま目を閉じる壱也先生がいた。

「うわ!」

 思わず声が出て慌てて口を塞ぐ。幸い壱也先生はぐっすりと眠っているようだ。

ピクリとも動かない。昨日は気づかなかったけれど、だいぶやつれたのではないだろうか。こんなところで寝てしまうほど、疲れているようだし。尖ったあごにはうっすらと無精ひげが生えていて、さらさらの髪の毛にはしっかりと寝癖がついている。

見てはいけないものを見てしまった。早くここからでなければ。私は休憩室を出ようとした。けれど、タイミング悪く、先生のPHSが鳴り出した。パッと目が開く。その視線は私をとらえ、驚いたように目を丸くした。

「あ、あの」

慌てふためく私をよそに、先生は首から下がっている電話を手に取るとゆっくりと通話ボタンを押す。

「はい。……ああ、はい。それで?」

電話の相手と会話をしながら控室を出ていく。私はドアが閉まるその瞬間まで息をすることさえできなかった。
 
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