俺様外科医の極甘プロポーズ
2.先生の専属
ある朝私が出勤すると、夜勤の看護師たちが一台のパソコンを取り囲んでいた。
「お疲れ様です。なにか、ありましたか?」
「おはよう、花村。察しがいいね!」
みんな眉間にしわを寄せ、腕組みをしているのだから、なにかなかったという方がおかしい。
「実は昨日死神が緊急入院してね」
「……壱也先生が?」
いったいなにがあったのだろと私はカルテを開く。そこには、本日五時、急患の対応後に外来で突然の意識消失。頭部CT異常なし。脱水症状と過労によるものか。安静・加療が必要。左足首の骨折に関しては、整形外科に依頼する。と書かれていた。副院長の晴也先生が主治医のようだ。
「ところで、受け持ちの看護師はだれなんですか?」
点滴の指示があるのにまだおこなわれていないようだし、朝のバイタルもまだだ。
「それがさ。誰も担当したがらなくて」
夜勤者はみんなで顔を見合わせると、うんうんと頷く。
「でも、脱水なんだし早く点滴しないといけませんよね。骨折しているなら身動き取れないでしょうしなおさら」
いくら関わりたくない人だからとはいえ、放っておいたら命に関わるかもしれない。
「そこまで言うなら花村が担当してくれる?」
「私がですか⁉」
「そうよ、お願いね。私たちは申し送りの準備をしないといけないのよ」
逃げられた。私はいそいで点滴の準備をすると、壱也先生がいる病棟の個室へと向かった。