俺様外科医の極甘プロポーズ
「夜勤の看護師たちを庇うつもりはありません。職務放棄をしたのは事実です。でも、どしてみんながそうせざるを得なかったか、わかりますか?」
「どういうことだ」
「それは……みんな先生のことが怖いんです」
「僕が怖い?」
先生は小さく首を傾げる。この人は自分が威圧感を与えているということに気づいていないのだろうか。だったら言わないとわからない。私たちが日ごろ感じている恐怖を。私はこぶしを握り締める。
「……そうです。先生はたくさんの職員を首にしてきましたよね。威圧的な態度をとることも多いし」
「だからって、患者をほおっていいことにはならない」
「はい。先生のおっしゃる通りです。ですが、私たちの心情もご理解ください。看護師も人間です。心のないロボットではありません。怖いものは怖いんです。放っておかれたのは、先生ご自身に問題があるからだと気づいてください! お願いします」
途中で言い過ぎだと気づいたが、流れ出た言葉を止めることができなかった。
しかし、こんな言葉を病人に投げつけていいはずがない。夜勤の皆をかばうつもりが、これでは自分の鬱憤を晴らしているだけでしかない。
反省と後悔の念が押し寄せてきて、私は下げた頭を上げることができない。
先生は今、どんな顔をしているのだろう。きっと怒で真っ赤になっているかもしれない。ああ、私もついにクビか。