俺様外科医の極甘プロポーズ
しかし、頭上から降ってきた壱也先生の声はどこか悲しげだった。
「そうか。僕のせいか」
恐る恐る顔を上げると、先生はいつもの無表情で天井を見つめている。そんな先生を見ていたら、急に胸が苦しくなった。
「ごめんなさい先生。私、余計なことを言いました」
「余計なことではないよ。さっきの言ったことは君たちの本音なんだろう。なら知れてよかった。処分なんてしないから、ひとりにしてくれ」
私は動かなかった。動けなかったといった方が正しいかもしれない。
先生を傷つけた罪は、予想以上に重い。その重さに囚われて、足が動かない。
病める人には平等に手を差し伸べるべきだと教えられたはずなのに。
私のしたことは、看護とはなんら関係ない自分の言い分をぶつけて、相手を委縮させただけ。
「いいからでていけ」
「出ていきません」
もし、私が出ていけば、もう誰もここには来ないだろう。誰がこの人の看護をするのか。今だってあんなに辛そうなのに。