俺様外科医の極甘プロポーズ
「わるい、わるい。でもあれだ、影響力があるからこそ、副院長という立場を利用してスタッフにあれこれ吹聴して回るのはよくないよな。身内の文句なんてみっともないにも程がある」
先生はまるで呆れたやつだとでもいうように、大きなため息を吐いた。気持ちはわからないでもないけれど、二人きりの兄弟じゃないか。
「二人に何があったかは知りませんけど、病院のピンチを救うために、仲直りすることはできないんですか?」
晴也先生だって、柏瀬病院がつぶれてもいいだなんて思っていないはずだ。
「多分無理だろうな」
「兄弟なのに?」
「異母兄弟だからな」
思いもよらない言葉が壱也先生の口から飛び出して、私は言葉に詰まる。
「……異母、兄弟」
「俺の母親は柏瀬病院で働く看護師だった。親父である院長は妻と子供がいながら母にも手を出してそして妊娠させた。それが俺だ」
淡々と語られる事実に、私の理解が追いついていかない。