俺様外科医の極甘プロポーズ

「どうして私なんですか? かわいくもないのに」

「自分の価値は自分で決めたらだめだ。君は十分かわいいよ。不器用なのに頑張る姿がいじらしい。いますぐキスしたいし、抱きたい」

 真顔でそんなことを言われて、私の思考はショートする。ああもう、何も考えられない。

「先生のおっしゃっている意味が分かりません」

「いちいち意味なんて考えるな。体で感じてくれたらいい」

 先生は私に触れるだけのキスをする。柔らかくて温かくてここちよくて、でも全身の血液が沸き立つようなそんな強烈な感覚に襲われる。

「……あの、先生」

「嫌なら逃げていいんだよ。この足では君を追えないんだから」

「そうじゃなくて。……はじめてなんです。私今までその、男性とこういうことしたことがなくて……」

 私の告白に、先生は驚いたような顔をした。いわない方がよかっただろうか。

しかし、経験があると思われているのは困る。つまらない女だって思われたくないし、私を抱いた後悔もさせたくない。処女なりの見栄とプライドくらい、私にだってある。

「私には、先生を満足させる自信がありません」

「満足って、いったい花村はどんなことしてくれようとしてるわけ?」

「……それは、言えません!」

「言えないようなことって、どんなことだよ。お前、本当に経験ないの?」

「そうですよ!」

< 62 / 185 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop