俺様外科医の極甘プロポーズ
着替えて朝食づくりのためにキッチンに立つと、寝室から私を呼ぶ声がした。
「りさ」
「はーい」
先生のお目覚めだ。
「どこ?」
「はいはい」
寝室に顔を出すと、先生は手招きしている。私はベッドの端まで行くと腰を下ろした。
「何してたの?」
「朝ごはんの準備をしようとしていたところです」
「そんなのいいからまだ寝てろよ。今日は夜勤だろ?」
「そうですけど……」
私が家を空けるので、明日の朝食分まで用意しないといけないのに。いい終わらないうちに先生は私の腕をつかんでベッドに引きずり込む。
「なんで自分だけ服着てるんだよ。ずるいじゃないか」
ぶつぶつと言いながら私を抱き寄せると、また寝息を立て始める。
「なにそれ」
また先生の違った一面を知ってしまった。まるで大きな子供みたいだ。
朝食は要らないというのならそれはそれでいいのだけれど、怪我の回復のためには規則正しい生活とバランスの取れた食事が欠かせない。
そんなことは私以上に“理解している”であろう人がこんなことでは、先が思いやられる。
けれど、さすがに私も夜更かしをしたせいでとても眠い。今だけは眠らせてもらおう。私は先生の腕の中で微睡に興じた。