俺様外科医の極甘プロポーズ
「あの。山田先生は?」
「山田先生にはお辞めになりました」
「辞めた?」
「ええ。来週には知り合いの外科医が大学病院から出向してきます。それまで外科の患者はすべて僕が担当します」
壱也先生はサラリとそういった。私は目を丸くした。それは同僚たちも同じだったようでみんな驚いたような顔をしている。
山田先生が辞めただなんて、信じられない。
患者にも、私たちにもなにも言わずに突然退職するような先生ではないはずだ。なにか理不尽な力が働いた。そう考えるのが普通だろう。みんな同じことを思ったのか、ナースステーション内はしんと静まり返った。
そんな中、田口さんは「はい!質問です」と元気よく手を挙げた。私はびくりと肩を震わす。
「どうして山田先生はお辞めになったんですか?」
「どうして? それは僕がいらないと判断したからです」
「それって、リスト……」
私は慌てて田口さんの口を塞いだ。その通りだからこれ以上しゃべらないでちょうだい。
「はひふるんへふか、へんはい!(なにするんですか先輩!)」
「いいから黙って!」
壱也先生は私たちを一瞥すると、感情のない声で言った。
「どうとらえていただいてもかまいません。……さあ、仕事をしましょうか」
私はゴクリと唾をのむ。平和な柏瀬病院に暗雲が立ち込めてくるのを感じた。これは嵐の前兆に違いない。
「山田先生にはお辞めになりました」
「辞めた?」
「ええ。来週には知り合いの外科医が大学病院から出向してきます。それまで外科の患者はすべて僕が担当します」
壱也先生はサラリとそういった。私は目を丸くした。それは同僚たちも同じだったようでみんな驚いたような顔をしている。
山田先生が辞めただなんて、信じられない。
患者にも、私たちにもなにも言わずに突然退職するような先生ではないはずだ。なにか理不尽な力が働いた。そう考えるのが普通だろう。みんな同じことを思ったのか、ナースステーション内はしんと静まり返った。
そんな中、田口さんは「はい!質問です」と元気よく手を挙げた。私はびくりと肩を震わす。
「どうして山田先生はお辞めになったんですか?」
「どうして? それは僕がいらないと判断したからです」
「それって、リスト……」
私は慌てて田口さんの口を塞いだ。その通りだからこれ以上しゃべらないでちょうだい。
「はひふるんへふか、へんはい!(なにするんですか先輩!)」
「いいから黙って!」
壱也先生は私たちを一瞥すると、感情のない声で言った。
「どうとらえていただいてもかまいません。……さあ、仕事をしましょうか」
私はゴクリと唾をのむ。平和な柏瀬病院に暗雲が立ち込めてくるのを感じた。これは嵐の前兆に違いない。