俺様外科医の極甘プロポーズ

「どうにかしてやりたいが、俺が庇えば余計に肩身が狭くなるよな」

「そうですね」

 先生が私をかばったりしたら、今以上にみんなの反感をかうだろう。

「しばらく仕事を休むか? もちろんその間の給与は保証する」

 ありがたい申し出だ。けれど、私は首を横に振る。

「……休んだりはしません。だって、どうして私が休まなければならないんですか? いっさい悪いことはしていないので仕事は続けます。みんなだって、いつかはわかってくれるはずです」

それがいつかはわからないけれど、私は逃げたくない。
断られることを想定していなかったんだろう。先生はしばらく黙った後、「わかったよ」と言った。

「仕事は続けるんだな」

「はい」

「うん。でも俺には、お前を守る責任があると思っている。だからいつ頼ってくれてもいいぞ」

 先生はにこりと笑った。その笑顔に背中を押された気がする。

「ありがとうございます。明日から頑張れます!」

 私は不安をかき消すようにガッツポーズを作る。

「ああ、頑張れ。でも、無理だけはするな。だから俺と二人の時ぐらい、弱音をはけ。泣いたってかまわない。全部受け止めてやるよ」

「……ずるいです。こんな時にやさしくするなんて」

 本当にずるい。励ましたり、優しくしたり、でも決して突き放したりはしない。そんなことをされたら、甘えてしまうじゃないか。

「いま優しくしないでいつするんだよ。言っておくが、俺は患者と好きな女にはいつでもこうだ!」

「……好きな女」

 それって、私のことでいいんだよね。

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