俺様外科医の極甘プロポーズ
それから俺は柏瀬病院の再建に心血を注いだ。不倫相手が生んだ子供である俺のことを、認知すらしてくれなかった父親の病院を立て直して、自分の存在価値を認めさせる。
それだけを目標に掲げた。達成するためには病院の誰に嫌われても構わない。むしろ好かれようなんて思う方が無駄だ。
改革は痛みを伴うものなのだし、中途半端な情けは無用。みんなが敵である方が気が楽だ。
そうと決めたらあとは行動あるのみだった。
病院経営に長けたコンサルタントを友人から紹介してもらい事務長に据え置き、顧問弁護士を変えた。生産性のない仕事しかできない医者たちを切り、俺の改革についてこられないスタッフたちはどんどん辞めてもらった。
空いたポストには学生時代から信頼している仲間の医者についてもらい、看護師などの医療スタッフにもうちで働かないかと声をかけてもらった。給与の出し惜しみはしなかった。優秀な人材は金を生む。その金にまた人材が集まる。それはやがて何倍にも増幅する。
すべては順調だった。けれどあと少し、というところで俺は倒れた。
倒れて入院した俺を病棟のスタッフは放置した。でも、花村だけは違った。ベッドサイドにやってきて、俺に説教をした。