高校生夫婦はじめました。
猶予は祖母の法事の日まで。
それまで私は普通に学校に通うようになり、放課後には、いつも通りスーパーで買い物をして正臣の家に向かった。三人分の食事を用意して、今日は珍しく遠出をしているという真仁さんの帰りを待つ。
正臣が真仁さんと二人で暮らしているマンションの居間は広い。私たちはいつも三人そろって、居間にあるローテーブルで一緒に晩御飯を食べていた。いつも料理が完成する頃にはみんな揃っているから、すぐに食事が始まるのだけど……今、つくった料理の皿にはラップが掛けられていて、お茶碗は伏せられている。
私はすっかり冷めてしまった料理たちにぼんやり目をやりながら、脱力してローテーブルに伏せた。
「真仁さん、遅いねぇ……」
私がぼやくと、柱に凭れて座り参考書を読んでいた正臣が答えてくれる。
「普段学会に行かないから、たまに顔を出すとなかなか帰してもらえないって言ってた」
「そうなんだ……なんか、大変そう」
「先に食ってていいと思うけど」
それも何度か考えた。あまりに遅いようなら先に食べててもいいかもしれないなって。
これからもこんな日々が続くと約束されているなら、そうしたと思う。
「ううん、待ってる。……三人で晩御飯食べられるのも、もう最後かもしれないし」