高校生夫婦はじめました。
「やっ……正臣っ……!?」

私の上でマウントポジションを取った彼は、スカートの中の太股に“すりっ……”と触れてきた。慌てて私が制止しようとすると、彼はそこで手を止めたまま、なおも真剣な表情で問いかけてくる。



「俺と、キスも……それ以上もすることになるけど。…………できる?」



正臣とキス? 正臣と…………それ以上!?

つい一瞬前に、幼なじみの男気に感動したばかりだけど。よくよく聞くと今、私は彼に体を要求されている。
一生正臣に養ってもらう。その代わりに、私は彼に体を明け渡す。……ということなんだろうけど。――――そもそも‼


ものすごいことに気付いてしまって、私はサッと両手で自分の顔を隠した。


「……知佳?」

正臣の不思議そうな声が降ってくる。どうして彼はこう、普段通りなんだろう……。
私は自分の顔を手で隠したまま、質問する。

「…………正臣は、私とそういうコトしたいの?」

彼はいつもと変わらないトーンで答える。

「え…………普通にしたいけど」

……そうなんだ。

「一生養う」なんて簡単に言ったけど、大変なことだと思う。その対価として彼が“キスとそれ以上”を要求したことにはびっくりしたけど、それ以上にびっくりしたのは――――。

(そういうこと、私としたいって思うんだ……)

私はそろりと、自分の顔を隠していた手をずらす。きっと真っ赤になってしまっている顔を渋々晒す。そうまでしてでも、これはきちんと目を見て伝えないといけないと思ったから。
声が震えそうになるのをなんとか我慢して、なるべくしっかり発音する。



「…………私もしたい」


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