高校生夫婦はじめました。
下校した私たちは時任家に集合し、今後の生活について作戦を立てることになった。
生きていくためにはお金が必要だ。生活費だけじゃなくて、私たちには学費もかかってくる。正臣の部屋で膝を突き合わせ、それぞれ持ち寄ったお互いの預金通帳を“どーん!”と公開する。
出して早々、私はお詫びした。
「親戚付き合いがほとんどなかったからお年玉ももらってないし、お小遣いをコツコツ貯めてたくらいで、生活していけるほどはとても……」
私の通帳の預金残高は十万円とちょっと。
高校生にしては頑張って貯めているほうだと思うけど、まさかこれで暮らしていけるわけがない。正臣の貯金だってきっと似たり寄ったりだろう。だって高校生だもの。
ここまでだ、と思った。
二人で生活していくことを夢見て、現実的なお金の問題にぶち当たって、終わり。
正臣が「俺が一生養う」と言ってくれたときに想像がついていたことだけど、嬉しい気持ちが勝って現実には蓋をしていた。彼が自信満々に言うから、なんとかなりそうな気さえしていた。
だけど無理なものは無理だ。高校生の私たちの財力には限界があるし、無理にアルバイトを詰め込んで体を壊したら元も子もない。
私は「やっぱり無理だよね」と。「一緒に道を探してくれたことが嬉しかった」と、お礼を伝えようとした――――その時に。初めて彼の通帳の記載に目をやった。
目をやって、目を疑った。