高校生夫婦はじめました。
いずれ先生にも本当のことを話さないといけない。正臣との結婚のことまで打ち明けるかは別として、お母さんが亡くなった後、私が親戚に引き取られたわけではないことを伝えておかないと。三者面談にはたぶん、真仁さんに行ってもらうことになるだろうし。そうしたら先生は絶対、「あれ? 時任くんのお父さんですよね……?」ってなるだろうし……。
私が家に塞ぎこんでいた間、正臣も学校を休んでいたから、何か勘付いていそうな気もするけど――。
正臣……と思い出して、ふと彼の席に目をやった。
教室の真ん中後方の自分の席から、彼が座っている前方廊下側の席に視線を向ける。ちょうど、正臣は“ふわぁ……”と欠伸をして、それを手で押さえているところだった。目尻には涙の粒。まだ眠そうなその仕草に、私は小さく笑う。
そして、思い出していた。
(もうちょっと、すんなり起きてきてくれるといいんだけどなぁ……)
今朝、朝食にありつくまでの攻防戦は凄まじかった。
必死に胸に吸い付いてくる正臣の顔を思い出して、私は“ぼっ!”と頬を熱くする。
寝起きの彼は、ほんとに…………野獣だ。
思春期の野獣。