高校生夫婦はじめました。
これまでの私たちについて
そもそもの話からすると、私と正臣は幼稚園の頃からの幼馴染だった。
家がご近所さんで、お母さん同士の仲がよかったから送り迎えのときはだいたい一緒。迎えを待つ間よく一緒に遊んでいたし、正臣の家で二人で遊んだこともある。
幼い頃から彼は落ち着いていて、他の子のように大声で泣き喚くことも、怒って乱暴することもなかった。いつも私のペースに合わせてくれて、二人で楽しめる遊びを探してくれる。他の男の子とは違う。一緒にいて楽しい。正臣は、子どもの私にとって最も身近な男の子だった。
それだけだったら、まあまあよくある関係だと思う。
幼馴染としての私たちの関係がより強く結びついたのは――――中学生のとき。
私たちが中学校に上がってすぐの頃に、正臣のお母さんが病気で亡くなってしまった。元々心臓が弱かったそうで、彼は小さい頃から“その日”がくることを知らされていたという。
少しずつ覚悟を決めて、事前に言われていた通りに“その日”がやってきた。いくら覚悟していたこととはいえやっぱりショックが大きかったようで、正臣はお母さんが亡くなってからしばらくは元気がなかった。元からテンションは低めだったけど、低いなかでの感情の起伏もないというか……。
お母さんはいなくなってしまったけど、正臣には父親の真仁さんがいた。研究員として働いているという真仁さんは、のんびりした優しい人。年齢のわりに随分と若く、笑った顔は特に子どもみたい。どこかそそっかしい真仁さんと、実年齢よりずっと落ち着いて見える正臣。父子家庭はちょうどいいバランスで成り立っていた