高校生夫婦はじめました。
一生懸命突き詰めてみるけど、ちょうどいい言葉が見つからない。過剰な言葉じゃ嘘くさくなる。でも、どんな言葉でも足りないような気もしている。
自信がないまま口を開いた。
「正臣ともっと……夫婦らしくなりたい、なーって……」
自信がないから、言葉は尻すぼんだ。“夫婦らしくなりたい”は間違ってはいないと思うけど、説明しきれてないような。
正確に伝えようといっぱいいっぱいになっていると頬が熱くて、息苦しかった。正臣が珍しく困っていたのも理解できる。これは難しい。
難しくて、苦しい。
深呼吸をしようと顔を上げると、くすぐったそうな表情の正臣が私を見ていた。柔らかく笑って――“くしゃくしゃっ!”と大きな手で髪を撫ぜられる。
「わ! えっ!?」
なぜ!?
朝に念入りに梳いた髪をぐちゃぐちゃにされる。「ちょっと!何してんの!」と怒ろうとしたら思ってた位置に正臣はいなくて――もっと近くにいて。
すぐ耳元で声がした。
「 」
耳打ちをした正臣は、横を通って歩いて行ってしまう。
廊下の真ん中に取り残された私はしばらく動けなかった。耳打ちされた言葉が、あまりに鮮烈で、衝撃的で――――甘かったので。
“委員会終わったら走って帰る”
(……夜までに死ぬかも!)
ときめきすぎて、もうダメだった。
もう英単語どころじゃないです。
自信がないまま口を開いた。
「正臣ともっと……夫婦らしくなりたい、なーって……」
自信がないから、言葉は尻すぼんだ。“夫婦らしくなりたい”は間違ってはいないと思うけど、説明しきれてないような。
正確に伝えようといっぱいいっぱいになっていると頬が熱くて、息苦しかった。正臣が珍しく困っていたのも理解できる。これは難しい。
難しくて、苦しい。
深呼吸をしようと顔を上げると、くすぐったそうな表情の正臣が私を見ていた。柔らかく笑って――“くしゃくしゃっ!”と大きな手で髪を撫ぜられる。
「わ! えっ!?」
なぜ!?
朝に念入りに梳いた髪をぐちゃぐちゃにされる。「ちょっと!何してんの!」と怒ろうとしたら思ってた位置に正臣はいなくて――もっと近くにいて。
すぐ耳元で声がした。
「 」
耳打ちをした正臣は、横を通って歩いて行ってしまう。
廊下の真ん中に取り残された私はしばらく動けなかった。耳打ちされた言葉が、あまりに鮮烈で、衝撃的で――――甘かったので。
“委員会終わったら走って帰る”
(……夜までに死ぬかも!)
ときめきすぎて、もうダメだった。
もう英単語どころじゃないです。