高校生夫婦はじめました。


正臣に貯金があるとは言っても、私たちが社会に出るまでにはまだ時間がかかる。いろいろ調べていると、七百万は決して余裕のある蓄えではないことがわかった。二人とも大学を出ようと思えばなおさら。それをわかっていたから、正臣も“贅沢さえしなければ”と言ったんだろう。

家計のやりくりを任せられている身としては、スーパーのタイムセール品は逃さずゲットしておきたい。なるべく安上がりに。でも食べ盛りの正臣がしっかり満足するものを。そして栄養に偏りが出ないような献立を。

無事にハムステーキをゲットした私は手にエコバッグを提げて、ほくほくした気持ちで帰宅した。お米を洗って水に浸し、その間にベランダに干してあった洗濯物を取り込む。順番に取り込んで畳んでいくなかで、正臣のパンツが巡ってきて、“ハッ!”と手を止める。

(……いやいや)

すぐに思い直して拾い上げた。
意識しちゃダメだ。正臣と話し合ったじゃないか。

二人で暮らし始めて最初の数日は、こんなこと一つにもすごく戸惑った。お母さんと二人暮らしだった私は男物のパンツを見たこともなくて、目の前に広げてじぃっと凝視してしまって。正臣もそうされるのはさすがに恥ずかしかったようで、“バッ!”と私の手から自身のパンツを奪い返して……という一幕があった。
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